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文字数:299文字
「私の勝ちだね」
夏休みの終わり。
冷夏は現実を選んだ。
「そうだね」
フゥームが月明かりの中たたずむ。
ここは学校の屋上。
私の家に来たフゥームがここに移動したのだ。
「心配しないで」
私はふっと気を緩めて笑う。
「冷夏は私が護るから」
フゥームの消える時間が近づく。
「・・・君は、何者なんだ?」
「さあね」
月が輝きを増す。
「どこから来た?」
「どこからだろう?」
風が静かに唸る。
「何も言わないか・・・」
「何も言えない」
浮かぶ足元。
「ありがとう」
「また・・・」
葉っぱが舞う。
「会いに行く。独りっきりの空間に」
「!!君は。まさか・・・」
最後の言葉は闇に飲み込まれ届かなかった。
「たぶん、当たってる」
私は何もない空に答えた。
18歳・夏
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