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~時の交叉路~

小さな囁きと共に  誰かに届くように  そっと置いてみる    

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スプリングドリーム番外編01
《その後編》
【覚醒】
 あれれ。私が手首を切ったのは雪の降ってた時期だから・・・。
 もしかして、だいぶん時間が経ってる!?
 家に帰ったら行方不明ってことになってる?
 ひ~。早く帰らなきゃ。
 と慌ててその場から離れた。
 家へと走っていくが、途中でどう説明しようかとも思った。
 まあ、気にせずにとりあえず帰らなきゃ。
 
 「ただいま~」
 私はとりあえず家にたどり着いた。
 「おかえり」
 奥から聞こえた声は冷静そのもの。
 「?」
 私は声の聞こえた部屋に行く。
 「どうしたの」
 母親がそう聞いてきた。
 「えーと、別に変わったことってない?」
 「特にないわよ」
 語尾に?がついてるように思える。
 確かに変な質問だ。いつもはこんなこと聞かないし。
 「今、4月だよね」
 確認してみる。
 「そうだけど・・・」
 「私、3月って何してたっけ?」
 「相変わらず、家でごろごろしてたじゃないの」
 ?
 「そうだった?」
 これ以上聞くと気がおかしくなったと思われそうだ。
 私自身おかしいんじゃないかと思い始めた。
 行方不明になってないことは分かったんだが・・・。
 
 【店主】 
 
 しばらくして、またあの店を見つけた。
 私はいつも持ち歩いていたあのナイフを返そうと思った。
 カランカラン。
 「おや、またいらしゃって下さったんですか」
 どうやら、店主は私の顔を覚えていたらしい。
 「どうです?不思議な体験ができましたか?」
 何を買ったかまで覚えているのか・・・。
 「ええ、まあ」
 「それで、そのナイフはもういらないのですか?」
 そう言って、私のバッグを指差す。
 透視でもできるのか? 
 なぜ、バッグにナイフが入っているのか分かったのかは分からないが
 そう言ってくれるなら話は早い。
 「もう、私には必要ないですから」
 「そうですか」
 そう言って、レジからお金を出す。
 「あ、お金は別にいいです。私が勝手に返しに来たのですから」
 「それじゃ、このお店の品物を一つ持っていきますか?」
 ぐるっと店を見回す。
 別に欲しい物は見当たらない。
 「だったら、お金でいいですね」
 レジから出したお金を私に渡す。
 人の心も読めるのか?
 「なんで・・・」
 「分かりますよ。長く生きていればね」
 そう言ってウィンクしてみせる。
 「長くって、そんな年にも見えませんけど?」
 「若作りなだけですよ」
 いくつなんだろ?
 「いくつなんですか?」
 あ、言っちゃた・・・。
 「秘密です」
 そう言って、唇に人差し指を当てる。
 意外とお茶目な人だ・・・。
 「それと、あのナイフは買われてはいつも戻ってくるのですよ」
 そー言うことは早く言って欲しい。
 そして、私は店を出た。
 
 あれから、あの店は見つからない・・・。

文字数:1040文字

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