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文字数:634文字
「キャハハ」
「クスクス」
「オーイ。コッチダヨ」
子供の声が聞こえる。
楽しそうな笑い声。
走りまわる足音。
小さな子の泣き声。
ああ、私もこんな時代があったっけ?
違う。
私は、人と遊べない子だった。
いつも一人遊び。
みんなでやるすべりだいより
一人っきりのブランコが好き。
みんなでやる鬼ごっこより
一人っきりの本読みが好き。
みんなと走りまわるのなんか嫌い。
みんなで一緒に遊ぶのも嫌い。
私、いつもそうやってたような気がする。
一人で壁にへばりついて、
ずっと外を見てたような気がする。
誰にも関わらない。
そうやってきたような気がする。
『そんなに何も言わないでいるなら、人形になってしまうよ』
って言ったのは保育園の先生だった。
そんな頃から何も言わなかった?
泣いた事ってあった?
笑った事は?
私はどんな顔してた?
わからない。
だって、自分の顔はいつも見えない。
「ネエ、コッチ手伝ッテヨ」
誰?
あれは誰だった?
知ってるような声が聞こえたのに、私には思い出せない。
友達だった様な気がする。
私を傷つけた友達。
私は何故傷ついたんだっけ?
そうだ、約束をしたんだ・・・。
それで、その約束が破られて・・・
約束?
破ったのは友達だった?
ちがう。私が取り残されただけ。
私が行かなかったから。
私が聞かなかったから。
約束を破ったのは私?
それとも、友達?
どんな約束だった?
思い出せない・・・。
何かを忘れてるのに。
約束を?
違う、思い出したいのは約束なんかじゃなくて
そんな事なんかじゃなくて・・・
じゃあ、一体何を思い出したいんだろう?
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