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文字数:699文字
「ダメだよ。あんまり考え込んじゃ」
頭上で声が聞こえた。
天使の声だ。
「何で、邪魔するの。私、思い出さなきゃ」
そう、何でここにいるのか思い出さないと・・・。
「何をあせってるの?」
あせってる?私が?
「大丈夫。ここに時間なんてないんだから」
羽がひらひらと舞う。
「ゆっくりお休み」
私は天使の優しい声と揺ったりとしたこの空間で意識がもうろうとした。
考えなきゃ。
だって何か忘れてる。
なにを・・だ・・ろ・・・・う。
「能面みたいな顔して・・・」
「そんな絶望した顔」
「無表情だよ」
無表情?能面?
私そんな顔してる?
だって、知らない。
何でこうなったのか分からない。
私のせい?
これは私の顔だからこうなったのも私のせい?
別に絶望してるわけじゃない。
でも、鏡の中の私に表情なんかない。
ああ、やっぱり無表情なのかな。
そうなのかもしれない。
でもいまさら変えようがないし、このままでいいや。
このまま・・・自分は無表情なんだって認識してれば。
大丈夫。私に感情なんかいらない。
痛みも悲しみももういらない。
何も聞かない。
何も見ない。
何も言わない。
ほら、ダイジョウブ。
全ての感覚を断ち切って・・・。
―――――――――――。
何かを忘れている。
何を?
ドウシテコウナッタノ?
どうしてだっけ?
何かきっかけがあったのに。
キッカケ・・・。
なんだったけ?
「・・・。」
ああ、そうだ誰かの言葉。
なんて言われたんだっけ?
「!」
やだ。
オモイダシタクナイ。
思い出せない。
思い出さなきゃ。
ワスレタイ。
忘れちゃいけない。
忘れられない。
イタミガヨミガエル。
この痛みは消えない。
傷跡は消せない。
だから、思い出さなきゃ!!
「キ・ラ・イ」
――――――――――――――――――!!
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