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文字数:832文字
【罪罰】「ウィリア・・・」ウォルトは懐かしそうに呟いた。自分がどんなに罪深いか知っている。それを知っても、懐かしそうに呼んでくれるのか?「なぜ、ここに?」「華雪の後をつけた。ウォルトに会うために」ずっと言えなかった言葉を言うために。「俺に?なぜ・・・ずっと振り向かなかった俺を憎んでいたんじゃないのか」「違う!!俺は君を悪魔に仕立て上げた罪人 なんだから」うつむいたまま俺はウォルトの顔を見られなかった。「ウィリア?いったい何のことだ」「あの時、魔女のことを俺が父親に言いつけたせいで貴方達が追われる事になった・・・」言わなきゃいけない。「ゴメン!!ずっと、謝りたかったんだ」「ウィリア。知っていたよ。いや、気づいていたと言うべきだな」!!なんで・・・「あれから長い時間を生きてきて、なんとなく気付いていた」その瞳はあまりにも悲しげで、今にも泣出してしまいそうに見えた。でも、きっとそれは気のせいだったのかもしれない。青い瞳は、冷たく輝いているだけだった。何となくわかった。ウォルトはあまりにも永い時間を生き過ぎてしまった。だから、きっと探していたんだ。「あの時の俺には、ウォルトだけしかいらなかったんだ」・・・・・・。「今は、あの子だけ・・・華雪だけが大切なんだ。だから、もう同じ過ちは繰り返さない」ドッたった一点に全ての力をかける。「ウィ・・リア」心臓・・・。そこにナイフが刺さっている。「ウォルト。君がいる限り華雪は幸せになれない」滴り落ちる雫。「過去の記憶を背負って生きるのは、辛く悲しい事。君がいなければ華雪は過去に戻る事はないんだから・・・」手が紅く染まっているんだろうか?「ウィリア、あ・・りが・・・と・・・・」彼が探していたのは自分を狩ってくれる者。過去の残影は跡形もなく風に乗って消えていった。残ったのは腕のしびれと、手の温かさ。雪は風に乗って舞い、そこには白い空間があるだけ。決めていた。永遠の終止符をうつのは私だと・・・それが役目だと。
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文字数:1713文字【記憶】夢を見た―――罪人の夢。「ウォルト、ねえウォルト」いつも、ウォルトの傍にいたかった。「ウィリア、いつも言ってるだろう俺は忙しいんだ。遊び相手なら他をあたるんだな」「そんな冷たい言い方しないでよ。乳母の目を盗んでここまで来るの大変なんだから」私の家はこの辺りを治める領主だった。「だったら来なけりゃイイだろう」ウォルトは農民の息子。身分違いなのは誰が見ても一目瞭然。「ウォルト、喋ってる暇があるなら手伝え!!」向こうでウォルトを呼ぶ声が聞こえる。ウォルトは私の方を振り向きもせず行ってしまった。しかも私の片思い・・・「お嬢様、またこんな所に来て!」まずい・・・乳母に見つかってしまった。「いいじゃないのよ。ちょっとぐらい」「いいわけありませんよ。こんな事がだんな様の耳に入ってごらんなさい。私までなんと言われるか」ああ、また小言・・・「さあ、もう戻りましょう」「はーい」私はいつもどうしたらウォルトが振り向いてくれるか、そればかりを考えていた。でも・・・私は今日も館を抜け出してウォルトを探していた。そして、ウォルトが木の影にいるのを見つけた。「ウォルト、やっと見つけ・・・」誰か、女の子と一緒にいる。あの子、確か村のはずれに住んでる『魔女』赤い目のあの子を村人はそう呼んでいた。あんな風にウォルトが笑っているところなんて見たことない。「ウィリア様!」その子は私に気づくとそそくさとその場から逃げ出した。「ウォルト誰、あの子?」あんな何もとりえのないような子が何でウォルトの傍にいるのよ!!「お前に関係ないだろう」冷たい一言。そう言ってその場から離れていこうとする。「待ってよ。あの子誰なのよ!私に黙ってあんなに親しそうに」「おれが人と話すのに、あんたの許可がいるわけ?お嬢様」!!ウォルトは私の手を振り払って行ってしまった。何よ。私にはあんなに楽しそうに笑わないくせに、私にはあんな風に・・・――――――――――その日から私はあまり外に出なくなった。帰ってきたお父様の顔がなんだか曇っていた。「どうなさったの。お父様?」私はお父様のそばに近づいて聞いた。「ああ、ウィリア。最近、雨が降らないだろう。それで作物が実らなくて困っているんだ。おまけに変な疫病まで流行り出している」そんな事になっているなんて知らなかった。「まあ、それは大変ですわね」「全く、悪魔でもいるんじゃないだろうか」それはホントに出来心だった。「悪魔?」「ああ、誰かが悪魔と契約でもしているんじゃないかと思うよ」少し、ウォルトを困らせてやりたかっただけ。「そういえば、村のはずれに住んでいる『魔女』が夜中に何かこそこそと森に行くのを見かけたけどもしかして、悪魔でも呼び出していたのかしら?」「なんだって、本当か!!」お父様がきつく腕をつかんできた。「え、ええ」その言葉を聞くとお父様は家を飛び出していった。悪魔なんて信じていなかった。だから、私の言葉があんな出来事を引き起こすなんて考えもしなかった。その夜の事だった。「魔女を、悪魔を逃がすな!!」その声に目が覚めた。魔女狩りが始まっているんだ。私はそっと外を覗いてみた。もちろん外は暗くてよく見えない。たいまつの火が所々に見えるだけ。明日になればウォルトも私だけを見てくれる。『魔女』はもういないんだから。朝になるとお父様が帰ってきた。私は急いで、お父様のいる部屋へ行った。「まあ、それじゃあ。ウォルトも崖から落ちて?」お母様とお父様の話し声が聞こえる。何?ウォルトがどうかしたの?「ああ、きっと死んでしまっただろう」死?「お父様、ウォルトがどうかしたの?」私は部屋に入るなり聞いた。「ウィリア、奴も悪魔の手先だったんだ。『魔女』と一緒にいたのだから」一緒に?まさか・・・「それで?」「あれじゃあ助からない。崖から落ちて・・・」!!その後どうやって自分の部屋に戻ったのか覚えていない。ウォルトが?違う!!私が望んだのはこんな事じゃない。私は、ウォルトが振り向いてくれればそれでよかったのにどうしてこんな事になってしまったの。私のせい?私がつまらない嫉妬なんてしたから?ウォルトを殺してしまうなんて!!
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文字数:745文字《お兄ちゃんと、ウォルトの関係》編【再会】(主人公はお兄ちゃんです)公園で華雪とあいつを
見た時 、息が止まりそうになった。なんで、ウォルトがここに・・・「華雪!!」「お兄ちゃんなんでここに?」ずかずかっなんでまた出会う事になったんだ。ウォルトは俺には気付かない。「帰るぞ!」グイッ有無を言わさずに、華雪の腕を引っ張る。華雪がこいつに出会ったって事は華雪は気付いてるのか?「痛いよ!何なのよ一体?」交差点で見かけたのもあいつだったのか。家の中に入って、やっと腕を放す。「いいか!あいつには近づくな!!」怒鳴るような声でそう言ってしまった。「ちょっと、何でお兄ちゃんにそんなこと言われなきゃならないの!!」華雪も怒鳴り返してくる。「あいつは、お前の・・・」言うべきじゃない!!「いや。とにかく近づくな。あんな得体の知れない奴なんかに・・・」あいつは華雪にとって良くない。知らない方がいい事もある。あいつは華雪の・・・次の日の夜。華雪が家を抜け出すのを見かけた。俺はこっそりと後をつけた。あいつがいる!!公園で、あいつは華雪を待っていた。華雪の声が途切れ途切れに聞こえてくる。記憶が戻ってきていたらしい。過去の忌まわしい記憶が・・・「もう、この町を離れるから、お別れに・・・」ウォルトの言葉が聞こえる。そう言って、華雪に背を向けて歩き出した。華雪はその場を動かない。俺は今度はウォルトの後をつけた。しばらくして、ウォルトはつけてきた俺に気が付いたようだった。足を止めて、後ろ・・・つまり俺のいる方を向く。「誰だ?後をつけてくる奴は」物陰に隠れていた俺はそこから出てくる。「君は・・・」俺を見て何かを感じたらしい。「たしか、華雪のお兄さん?」が、気付いてはいない様だ。「ウォルト・・・」ウォルトの目が大きく見開かれる。―――――――――
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《もしも、主人公がヴァンパイアになっていたら》編【覚醒】それから、彼の姿を見たことはなかった。そして、夢は覚めない。毎夜見る悪夢が、ウォルトなのか私なのか区別がつかなくなってきた。夢と現実の区別もつかなくなる。そして、悪夢は繰り返される。血の香りが、眠りから目覚めさせてくれる。私の願いが今、叶えられる・・・