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~時の交叉路~

小さな囁きと共に  誰かに届くように  そっと置いてみる    

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  • 【悪夢】01
    文字数:1247文字
     「じゃあね。また明日、華雪かゆき
     「バイバーイ」
     友達と別れた後、私は公園の前で足を止めた。
     委員会で学校に遅くまで残っていたので、あたりはもう暗くなっている。
     雪も降ってるし、公園の中を通っていこうかな。
     そう思ったのは偶然だった。
     公園を通るのは近道になる。
     だけど、いつもは通らない道だった。
     人の姿はなく、電灯が公園を照らしている。
     ガサッ
     突然の音に身体がビクンと震えた。
     なんだかいやな予感がした。
     私は音のした茂みの陰を覗きこんだ。
     そこには、普通の恋人同士が抱き合っている姿があった。
     なーんだ。
     見なかったことにして通り過ぎようとした時だった。
     え?
     一人が崩れ落ちるようにもう一人によりかかる。
     女の人が干からびている!?
     そして、男の人がゆっくりとこちらを振り返る。
     !!
     目が合った。
     その唇からは血が滴り落ちている。
     雪が血に染まる。
     背筋が凍りついた。
     ―――人間じゃない!!――――
     直感的にそう思った。
     私は慌ててその場を逃げ出した。
     
     バタッ バタタンッ
     家の階段を一気に駆け上がって自分の部屋に入った。
     ハァハァ 
     息が苦しい。
     何だったんだろう?
     もう一度よく考えてみた。
     あの女の人死んでしまったのかな?
     ちがうよね。
     人があんな風に死ぬことなんてないもの。
     あれはきっと何かの見間違えで・・・
     ―――違う―――
     私の頭のどこかでそう感じてる。
     ―――彼はあの人を殺した。―――
     どうやって?
     ―――血を吸って―――
     !!
     そんなはずない。
     まるで、  吸血鬼バァンパイア・・・みたいな
     ヴァンパイア?
     もし彼がヴァンパイアなら私の願いが・・・
     
     ――――――
     何考えてるんだろう。
     バカみたい。
     ヴァンパイアなんているはずないのに。
     早く寝てしまおう。
     そうしたら、きっと何もかも忘れている。
     私は早々とベットに入った。
     
     夢を見た―――
      悪魔の夢。
     どこかの森の中を走っていた。
     この身体が勝手に動いている。
     (逃げないと・・・
     鬼が追いかけてくる。)
     誰の声?
     (早く逃げないと)
     声は頭の中から聞こえてくる。
     この身体、私のじゃない?
     男の身体みたいな?
     この身体は、森の中の道なき道を走ってる。
     身体のあちこちに小さな引っ掻き傷がついている。
     突き出た小枝がまた傷をつけていく。
     「捕まえろ!」
     「逃がすな!!」
     後ろからそんな声が聞こえてきた。
     (逃げないと・・・
     殺される。)
     この身体の持ち主の声?
     ピタ
     足が止まった。
     目の前にあるのは崖だった。
     ガサッ
     「いたぞ!ここだ」
     すぐ後ろから声が聞こえた。
     (逃げられない!!)
     身体が声のした方に振り向く。
     え?
     鬼じゃない。
     追いかけてきたのは人間だった。
     中世のヨーロッパみたいな村人の服装をした男達。
     ただ、鬼みたいに恐い顔をしてるけど・・・
     「殺せ!!そいつは悪魔だ」
      「生かしとけば、また犠牲者が出る」
     何言ってるの?
     「殺せ!」
     足が後ろに少しずつ下がっていく。
     これ以上下がったら落ちちゃう。
     ガラリ
     あっ!!
     足元が崩れる。
     (このままじゃ,死ねない!!)
     身体が宙を舞う。
     (死にたくない)
     真下に広がるのは闇だった。
     きゃああああああぁぁぁ
      ――――――――――!!

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  • 【ドリーム】
     ―――夢を見た―――
     闇色の瞳をした  悪魔の夢
     彼が人じゃないことを、知っている。
     絶望した彼の横顔。
     彼の願いは叶わないまま。
     幾千年が越えてゆく。
     夢が時間を止めた―――。


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  • ウィンタードリーム::目次

    ー 夢を見た ー
    悪魔の夢。

    それは偶然の出会いだった……ハズ。
    追いかけてくるのは誰なのか。


    ~ウィンタードリーム~

     :ドリーム  00
     :悪夢    01 02
     :殺人    01 02
     :水鏡    01 02
     :願い         01
    約5500文字


    ここから先はお遊びも含みます。

    ~番外編~
    01 02 03 04
    約3500文字


    登場人物
      華雪 (かゆき)
    普通の中学生。悪夢を見てから、視線を感じる……
     兄 (あに)
    華雪の兄。ちょっと過保護。
     ウォルト (うぉると)
    華雪を遠くから眺めていたが……

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  • フォールドリーム番外編02
     ≪もしも、記憶が戻らなかったら?≫編
     【病院】
     眠ったままの雅深。
     周りにはいろいろな機械が取り付けられている。
     人のいないその部屋はガランとしている。
     外は、枯葉がまっている。
     人は寒そうに足早に歩いている。
     コチ コチ コチ
     その部屋は時計の音だけが響いていた。
     
     外からナースの声が聞こえてくる。
     「この病室の患者さん、いったいいつからここにいるんですか?」
     「もう30年近く眠っているらしいわ」
     「でも、お見舞いの人とかあまり来ませんよね」
     「見放されてるのよ。ずーと病院にいれとく気だと思うわ」
     「そうなんですか。なんだか可哀相ですね」
     そうして、ナースたちの声は遠くなって行く。
     
     真っ白なその部屋の中。
     聞こえるのは時計の音。
     そこにあるのは眠ったままの身体。
     
     けれど――――――――
     
     キャハ  クススッ
     
     雅深に聞こえるのは波の音。
     見てるのは深織の姿。
     そこにあるのは、雅深だけの楽園。
     
     雅深は夢を見つづける。
     

     ≪もしも、ナイフが刺さってしまったら?≫編
     
     【バイバイ】 
     
      ――――――
     今夜は、眠れない。
     ザ――ン  ザザッ――ン
     遠くで波の音が聞こえる。
     部屋の中は暗く、何も見えない。
     夜の静寂が辺りを包み込む。
     カタン
     障子戸が開いて、深織が入ってきた。
     深織の手に光るものが見えた。
     「眠れないの?」
     深織が僕に聞いてきた。
     「深織も?」
     僕は聞き返す。
     「うん」
     しばらくの沈黙。
     目が暗闇になれてくる。
     「殺さないの?」
     僕は深織に聞いた。
     深織はたぶん、僕を殺すためにこの部屋に来たんだ。
     深織が驚いた顔を上げる。
     動揺した瞳を僕に向ける。
     そして、静かに銀のナイフを持った手を、振り上げる。
     その手が、震えているのがわかる。
     あの『夢』のように
     ザン
     波の音と同時に、僕に向かってナイフを・・・
     ――――――――――
     
     暖かいぬくもりが、胸に広がる。
     赤黒い血が流れでる。
     「カイ!!」
     深織の叫び声が聞こえる。
     僕は痛みを感じているんだろうか?
     「ごめんなさい。ごめ・・・な・・・」
     深織が泣きながら、すがりついてくる。
     「大丈夫だよ。深織」
     言いながら、頭の片隅で『死ぬかも』と思った。
     心臓が必死で動いているのがわかる。
     「何処にも行って欲しくなかったの・・・」
     抱きしめている深織が震えながら言った。
     だんだん呼吸が早くなっていく。
     「でも、もう終わりだね。あなたがいないと―――」 
     深織が顔を上げた。
     泣いてなんかいない。
     
     「この世界は崩れるわ」
     
     笑っている?
     
     かすれる目で深織を見つめる。
     揺れる。
     深織の姿が・・・
     そして周りの景色が――――
     水の中のように、体が思うように動かない。
     
     沈む意識の中最後に見たのは、水の泡となる深織の姿。

    671文字

      目次  
    15歳・冬

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  • フォールドリーム番外編01
     ≪もしも、ウィザードまほうつかいがいなかったら?≫編
    【・・・・・・】
     コポ コポポッ
     あれ?
     沈んでいく・・・
     深くゆっくりと
     静かに
     
     P.S  う~ン きっと海の底まで沈んでいくだろうな。

    ≪もしも、ウィザードまほうつかいが願いを断ったら?≫編
     【水の中】
     夢を見た―――
     人魚の夢。
     水の中。
     「ウィザード様。どうかお願いです。」
     ウィザードまほうつかい
     人魚がフードをかぶった人に願っている。
     「それは、むりだ」
     え?・・・
      コポッ コポポッ
     水が声をさえぎる。
     よく聞こえなかった?
     「あの~今なんて?」
     引きつった顔で聞き返す。
     「だからムリ!!」
     きっぱりと言いきっている。
     ―――――――――――!!
     何で~台本(?)と違うじゃない!
     P.S   って事にはならないだろう・・・


    ≪もしも、崖から落ちて死んでたら?≫ 編
      
     【沈む】
     ガラッッ
      え゛?
      嫌な予感がした・・・。
      案の定、足元が崩れ落ちてゆく。
      ザッザザアアァァァァ
     天と地が回転する。
     周りの石や砂と一緒に、落ちてゆくのがわかった。
      あちこちに痛みが走る。
     そして、後頭部が激痛におおわれる。
      覚えていたのは、そこまでだった・・・・・。   
      
     
      夢を見た―――
     楽園の夢。
     色とりどりの花が咲き乱れている。
     その中に、僕はたたずんでいた。
     ―――――お・・・い・・・で・・―――――
     誰かが向こうで手招きしている。
     誰だったろう?
     その人達のほうへ近づいていく。
     あっ
     おばあちゃんだ。
     「よく来たねぇ」
     おばあちゃんが抱きしめてくれる。
     「おばあちゃん!!」
     ――――――― ・ ・ ・ ――――――
     遠くで誰かの呼ぶ声が聞こえた気がした。
     「さあ、向こうへ行こうか」
     「うん」
     やさしく髪をなぜてくれる。
     
     あれ、そう言えばおばあちゃんもう死んでなかったけ?
     ま、いいや。
     向こうのほうが楽しそうだもの。

      目次

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