忍者ブログ

~時の交叉路~

小さな囁きと共に  誰かに届くように  そっと置いてみる    

  • [PR]
    ×

    [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

  • サマードリーム番外編02
    ≪子供の頃は?≫   編
    【だあれ?】
      ザワザワ
      樹が風に揺れて、鳴いている。
      その樹の下で、私は一人で遊んでいた。
      ボールがポンポン跳ねる。
      ザアァァ
      強い風が吹いた。
      「キャ」
      髪が顔にあたって、目の前がまっくら。 
      あれ、ボールない?
      あ、あった。
      樹のそばに転がっている。
      あれ?
      「だあれ?」
      樹のそばに人がいる。
      いつからいたんだろう?
      男の子?  女の子かな?
      その子は、ボールを拾ってくれた。
      「はい」
      そして、私に渡してくれる。
      変わった瞳の色・あお?翠かな?
      ・・・・・・。
      「一緒に遊ぼう?」
      一人じゃつまらなかった。
      「うん」
      わぁ
      ニッコリした顔がかわいい・・・
      「ねぇ、名前なんて言うの?」
      「なまえ?」
      ?
      なぜそんなに哀しそうな瞳をするんだろう?
      まるで聞いちゃだめなことみたい・・・。
      「なまえ・・・。忘れちゃった・・・・」
      名前がないのかな?
      「ふーん?それじゃぁね。  『フゥーム!!』ママに読んでもらった妖精の名前なの」
      「うん・・・。それでいいよ」
      きらきら光る瞳で、笑ってくれた?
      「あたしね。レイカ」
      「レイ?」
      「うん。レイでいいよ」
      それがフゥームとの出会いだった。
      
      それから、毎日フゥームと遊んだ。
      かくれんぼや、鬼ごっこ、かげふみ・・・・
      夏の木漏れ日の中
      あの樹の下で二人でお昼寝
      二人でいつも一緒に・・・・・
      いつまでも、そのままならよかったのに―――
      
      「ひっく、ふええぇぇぇん。ア―・・・・エッッ」
      一人でベットで泣いていた。
      夜だった。
      それなのに、フゥームは来てくれた。
      カタン  タン
      「ひっく、だあれ?」
      部屋に誰かが入ってくるのが分かった。      
      「ぼくだよ」
      その声は・・・
      「フゥーム!!」
      私は、フゥームに抱きついた。
      フゥームに会いたかったの・・・
      「何で泣いてるの?」
      「ふぇ・・・。だって、引越すことになったの。そうしたらもう、フゥームに会えないもん」
      フゥームがポンポンって頭をなでてくれた。
      「遊ぼうか?あの木の下で」
      ?
      「うん?」
      「しっかり、つかまっていて」
      ???
      「ふわあぁぁぁぁ」
      フゥームが私を抱いたまま、窓から飛び降りた。
      フワッ
      けど、身体はゆっくりと地面に降りて行く。
      「フゥーム、すごーい!!」
      「遊ぼうよ」
      フゥームが、ニッコリしてくれる。
      「うん!!」
      私もつられて、ニッコリする。
      
      「キャハハハハ」
      「フフフフ・・・・・」
      樹の上にフゥームが隠れてる。
      「フゥーム、みーつけた」
      わぁ
      キレイ・・・。光が、フゥームとたわむれてる。
      トンッ
      フゥームが降りてきてくれる。
      「もう、戻ろうか?」
      え?
      「まだ、遊ぼうよ」
      だって、まだフゥームといたい・・・。
      「だめだよ。だってもう時間がないから・・・」
      フゥームは、そういって困ったような顔をする。
      「だって、・・・だって。・・」 
      「泣かないで、約束するから」  
      泣き出した私をなだめるように優しい声で、フゥームは言う。
      「約束?」
      「レイが、呼んだらきっと迎えに行くから・・・」
      優しい瞳・・・
      「本当?」
      「うん。だって、レイはぼくを見つけてくれたから」
      そう、言ったフゥームの瞳はあまりにも哀し気だった。
      ザアアァァァァ
      月がフゥームを包む。
      消えてしまう・・・
      まって・・
      待ってよ。フゥーム!!
      
      目が覚めた。
      あれは夢?
      夢だったのかな・・・・・    
      
      
      ぼくを呼んで  ・・・きっと迎えに行くから・・・・

    文字数:1311文字

      目次  

    拍手

    PR
  • サマードリーム番外編01
      ≪もしも、妖精に出会わなかったら?≫  編
     【 ・・・・・・・】
      話にならない・・・・。
      

      
      ≪もしも、妖精についていったなら?≫   編
      
      【バイバイ】
      
      夢を見た―――
      妖精の夢。
      過去の私がいる。
      夢の妖精も
      夏の光の中で・・・
      かくれんぼをしていた。
      「どこ?フゥーム」
      「レイ。こっちだよ、早く見つけて」
      ―――――――――――――――――!!
      目が覚めた。
      涙が頬をつたう。
      私と遊んだ妖精。
      私を迎えに来た妖精。
      私が見つけた妖精。
      
      月明かりが入ってくる。
      人影がうつる。
      キィ
      窓が開く。
      トンッ
      妖精が入ってくる。
      「おいでよ。一人では、さみしすぎる」
      差し出されたその手をつかめば、きっと行ける。
      夢の中。苦しみも、悲しみもない世界に
      行きたい!!
      そして
      私は、妖精の手をつかんだ。      
      「現実(ここ)にはもう、何もないの。 いつも、フゥームを呼んでたの。ずーとフゥームだけを待ってたの!!」
      夢を見たいの。
      妖精の夢      
      いつも夢見てた、あの頃に 環 りたいの。
      月が妖精を包み込む。
      「行こう。永遠の夢の中に・・・僕が連れていってあげるから」
      妖精の言葉は、本当。
      私も月の光に包まれる。
      ゆっくりと意識が沈む。
      
      連れってって
      妖精のいる夢の中に―――
      
      
      (ここからは、雷那の視点です)
      
      2学期
      冷夏のいない放課後の教室 
      「冷夏、どこへ行ったの?」
      一人っきりで、つぶやいてみた。
      「・・ライナ・・・・・」
      ふいに冷夏が後ろで呼んだ気がした。
      パタ   パタパタ
      振り向いても冷夏はいない。
      ただ、カーテンが風になびいてるだけ・・・・
      
     
      ざあぁぁぁ
      風の音の中に声を聞いた気がした。
      
      「クスクス・・・フゥーム、みーつけた」
      「レイにみつかちゃった。・・・・フフフッ」

    文字数:611文字

      目次  

    拍手

  • 【決着】
    文字数:299文字
     「私の勝ちだね」
     夏休みの終わり。
     冷夏は現実を選んだ。
     「そうだね」
     フゥームが月明かりの中たたずむ。
     ここは学校の屋上。
     私の家に来たフゥームがここに移動したのだ。
     「心配しないで」
     私はふっと気を緩めて笑う。
     「冷夏は私が護るから」
     フゥームの消える時間が近づく。
     「・・・君は、何者なんだ?」 
     「さあね」
     月が輝きを増す。
     「どこから来た?」
     「どこからだろう?」
     風が静かに唸る。
     「何も言わないか・・・」
     「何も言えない」
     浮かぶ足元。
     「ありがとう」
     「また・・・」
     葉っぱが舞う。
     「会いに行く。独りっきりの空間に」
     「!!君は。まさか・・・」
     最後の言葉は闇に飲み込まれ届かなかった。
     「たぶん、当たってる」
     私は何もない空に答えた。

    <<前へ  目次  
    18歳・夏

    拍手

  • 【忠告】
    文字数:1379文字
     教室でボーとしている冷夏に声をかける。
      「おはよん」
     冷夏はビクンと体を震わせ振り向く。  
      「何よ、そんなに驚く事ないじゃない」
      昨日、冷夏は彼にあったのかな。
     だって、彼が冷夏を見てる。
      「昨日、彼と何かあった?」
      「え?何が?」
      目をぱちくりしてる冷夏。
      「何とぼけてるのよ。彼、さっきから冷夏の事見てるよ」
     冷夏は視線を私の牛をに向ける。 
      「彼は、ダメだよ。私が・・・」
      よけいなことは言わない方がいいかな。
      「気のせいじゃないの?昨日はずーと黙っていただけだよ。」
      「ホントに?」
      夢でも会ってないの?
     夢の事なんて言ってくれる分けないか。
      「ほんとだよ」
      冷夏は慌てて否定する。
      「なぁーんだ。そう言えば冷夏ってば人嫌いだもんね」
      あんまり疑っててもしょうがない。
      「ね、冷夏これ教えて、今日あたるの」
     私は本来の目的に話題を逸らした。
      「どれ?」
      頭の上で声がした。
      ひょいっと顔を覗かせたのは、あの転校生だった。
      「教えてくれるの?」
      ちょうどいいや。
     彼の方を探ろうっと。
      「ああ、そのつもりだけど」
      「あのね、ここなんだけど・・・・」
      
     ・・・・・・。
      結局上手く交わされて何も聞き出せなかった。
     はあ、収穫無し。
     
     あれから、なるべく2人にしないようにした。
     だって、冷夏に何かしようとしてるのは分かってる。
      「冷夏、帰ろうよ」
      私はいつものように冷夏を誘う。
      「あ、ちょっと待っててくれる?日誌を書いて、職員室に持っていくから」
      冷夏は黒板を消している。
     日誌は私が書いていった。
      「日誌は書いてあるよ」
      「ありがと、雷那」
      冷夏は日誌を持って廊下を出ていく。
     
     「さてと・・・」 
      私は秋月君の方を向く。
     「何?怖い顔して」
     秋月君は私を不思議な顔で見つめる。
     「冷夏をどうするつもり?」
     探って分からないなら、正面から聞くしかない。
     「どうする?」
     とぼけ顔の秋月君。
     「夢の者がわざわざこっちに来るのはどうして?」
     秋月君の顔が変わる。
     「何の・・・」
     明らかにうろたえている。
     「とぼけるのはいい加減にして。冷夏は気に入ってるの」
     「フゥームだよ。そう言う君こそ何者だい?」
     諦めたように、本性を現した。
     声が冷たく教室に響く。
     「さあね。とりあえず、彼方と同じ異界の者でしょうね」
     「だったら、君と僕の目的は同じじゃないのか?」
     ククッと口の端をゆがめて笑う。
     「同じ?」
     「彼女を同じ世界に連れて行く」
     !!
     それは冷夏の死を意味する。
     「そんな事させない」
     私はぎゅっと拳を握りしめた。
     「僕を消すことは出来ないよ。僕の主は彼女だもの」
     やっぱり・・・。
     「だったら、夢に行かせないようにするわ」
     彼女が望まなければ、行けない。
     「頑張ってね」
     嫌味たっぷりに彼が言った。
     
     ガラリ
     と、冷夏が入ってくる。
     聞かれてた?と思ったが
     冷夏はぼうっと自分の机に向かった。
      「おそーい。何してたの?」
      私は冷夏に近づく。 
      秋月君も私の後ろからついてくる。
      「先生に、呼びとめられてて・・・・」
      ボーとした声。
      「どうかした?元気がないみたいだけど」
      そう言ったのは秋月君の方だった。
     先に言われた・・・。
      「先生に何か言われたの?」
      何言われたかは想像つくけど。
      「別になんでもないよ」
      「そう?気にしてないんだ。じゃ、帰ろ。ハイ、冷夏のかばん」
     にっこり笑う冷夏に私は苛立った。 
     私には何もいってくれない。
     誰にも何も言わない。
     冷夏は何時だって一人で答えを見つける。
     それが寂しかった。
      私は冷夏にかばんを差し出す。 
      「ありがと」

    拍手

  • 【転校生】
    文字数:1096文字

     「転校生の秋月風夢君だ」
     その子を見たときイヤな予感がした。
     彼は人じゃないと。
     そして・・・彼は。
     
      放課後・・・
      私たち2人以外、誰もいない教室。
      今日まで提出の課題を冷夏に手伝ってもらっていた。
      「いつも男に興味の無い冷夏が珍しいねボーとなるなんて」
      からかい気味に言ってみた。
      「そんなんじゃないって言ったでしょ」
      冷夏がムキになって否定する。
     「そんなんじゃなきゃ何なのかな?冷夏ちゃん」
      彼に気を取られていたのは事実だ。
     もちろん、私もだけど。
      「ただ・・・・」
      冷夏はためらい気味に言葉を切った。
      「ただ  何?」
      「見たことがあるような」
     初めて見る転校生なのに?
      「見たことがあるってあの転校生?」
      「うん」
     冷夏の目は真剣そのものだ。
      「なーんだ、やっぱり気があるんじゃない。それとも、前世で出会ってた とか?」
     う~ん。やっぱりからかう方が楽しい。
      「そんな事言うなら手伝わないよ」
      ちょっとムッとされてしまった。
      やばっ
     気を悪くしちゃったかな。
      「えーん。秀才の冷夏の頭が無いとこんなの終わらないよ」   私は冷夏にすがりつく。
     「はいはい。それより、手を動かそうね」
     冷夏は子供にでも言うような口調で私に言う。
      「楽しそうだね。何してんの」
      急に声がして振り返ると転校生がいた。
      「今、秋月君の話してたの。秋月君は何しにきたの?」
      やっぱり来たか。
     と言うことは、冷夏が目的なんだ。
      「僕は忘れ物を取りに来たんだ。  あれ、それって課題?」
      転校生が机を覗き込んできた。
      「そう。雷那が今日までにやってこなかったから、手伝いしてるの」
     手を動かしながら答える冷夏。
     冷夏の視線はノートの上。
      お願いだからよけいなことは言わないで。
      「へえ、手伝ってあげようか」
      「もう終わるから」
      冷夏が素っ気なく返す。
      「それなら一緒に帰ろう」
      え?
      「ボディガードがわりにはなるだろ?」
      そう言って、冷夏に近づく気か。
     でも、私も近づきやすいよね。
      「送ってってくれるの?嬉しい」
      私は転校生の腕を掴んで答えた。
      
      私の家は、冷夏の帰り道の途中にある。
      必然的に私を先に送って冷夏の家まで行くことになる。
     送ってもらうんじゃなかった。
     冷夏に何もなければ良いんだけどね。
     私は冷夏に触らせるまいと必死に話題を探す。
     そして、家についてしまった。
      「あ、私の家ここなの。じゃ、また明日ね」
      ・・・・・・。
      「彼はダメだよ」
      私は冷夏に囁く。 「何が?」
     「つまり、彼に近づかないでねって事」 急にふざけた調子に変えた。
     あんまり真剣に言うと変に疑われそう。
     
     あれって夢の者かな。
     冷夏の・・・。
     私は自分の部屋で考えた。
     冷夏は渡したくない。
     渡さない。
     だってあれは私のだもの。
     ・・・。
     夢の中じゃ手のだしようがないか。
     しばらく様子見かな。


      目次  次へ>>

    拍手