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文字数: 1159文字
夢を見た――
妖精の夢。
小さな私がいる。
そして、妖精も
「キャハ、・・・フフフ・・」
「ク・・・スク・・・ス」
――――――――――――― !!
目が覚めた。
涙が止まらない。
ああ、そうだ
妖精は・・・・
なぜ、忘れていたのだろう。
窓から月明かりが入ってくる。
その中に人影がうつる。
私は窓に近づいた。
キィ
窓が開く。
開いた窓から彼が見える。
庭の木の枝にすわって、月の光をまとう。
人とは思えないほどキレイ
あの時と同じ・・・
だから、私は妖精だと思った。
人とは思えなくて
まるで、この世のものではないように思えた。
「思い出した?」
彼が私を見た。
「まだ、みたいだね」
彼の瞳が、悲しそうにゆれる。
まだ?
何が?何を思い出すの?
ザアァァァァ
風が、樹をゆらす。
風に溶けるように彼の姿が揺れる。
彼の姿が消える・・・
「まって」
聞こえなかったのだろうか?
彼はそのまま風の中に消えていった。
「いつまで寝てるの。いい加減に起きなさい。」
お母さんの声で目が覚めた。
夢?
妖精の事も?
すべて・・・・・・・?
「いつまで勉強していたのか知らないけど、いい加減にしなさいね」
「うん。わかってる」
ボーとした頭で答える。
私の頭のなかは、昨日の夢の事でいっぱいだった。
なぜ彼が今、目の前に現れたのだろう。
約束って何?
子供の頃、妖精と何をして遊んでたっけ?
妖精の名前は、なんだっけ?
教室でボーとしながら外を見つめていると、
「おはよん」
うわっ
ルン と、した雷那の顔が、目の前にぬっと現れた。
「何よ、そんなに驚く事ないじゃない」
ちょっとムッとしながら、雷那は顔を私にぐっと近づけて来た。
「昨日、彼と何かあった?」
「え?何が?」
私が目をパチクリさせると、
「何とぼけてるのよ。彼、さっきから冷夏の事見てるよ」
え?
振り返るとたしかに転校生がこちらを見ていたようだ。
「彼は、ダメだよ。私が・・・」
まずい・・・。
この様子だと転校生と私の間に何かあったって誤解してるらしい。
「気のせいじゃないの?昨日はずーと黙っていただけだよ。」
「ホントに?」
疑わしいって目をして雷那は私をじっと見た。
「ほんとだよ」
私も、雷那をじっと見た。
「なぁーんだ。そう言えば冷夏ってば人嫌いだもんね」
何とか、わかってくれたみたいだ。
雷那は、きゅうにニッコリした顔になって、
「ね、冷夏これ教えて、今日あたるの」
そう言って雷那は私の机にノートをひろげた。
( 本当はこれを聞きに来たのね )
「どれ?」
頭の上で声がした。
ひょいっと顔を覗かせたのは、あの転校生だった。
「教えてくれるの?」
雷那は嬉しそうに言った。
「ああ、そのつもりだけど」
「あのね、ここなんだけど・・・・」
「ここは・・・・・・・・」
私はそんな二人をボーッと見ながら、昨日の事を考えていた。
転校生は昨日の事は何も言わなかった。
彼は妖精なんだろうか?
こうして見てると普通の人みたい。
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