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文字数:772文字
ドシンッ
「あたたっ」
目が覚めた。
どうやらベットから落ちたようだ。
何なの?あのユメは・・・
コンコン
「華雪。いい加減に起きないと遅刻しちまうぞ」
お兄ちゃんがいつものように起こしてくれる。
遅刻?
傍にあった時計に目をやる。
げ!!
やばい・・・。
慌てて着替えをすませる。
そして、階段を駆け下りる。
キッチンにあるトーストを急いでほうばる。
「もう少し落ちついて食えよ」
「そんなひまないってば!!」
そう言いながらも、ふとテレビに目がいった。
「あ!」
テレビの画面には、昨日のあの女の人がでていた。
『被害者は、外傷がなく全身の血が抜き取られていることから・・・』
一瞬昨日のことがよみがえった。
全身の血が抜き取られて?
「なにやってんだ?時間がなかったんじゃないのか」
お兄ちゃんの声にハっとした。
「え?きゃあ!遅刻しちゃう」
バタバタ
「いってきまーす」
バタンッ
やっと、学校が終わった。
その帰り道、雪が降ってきた。
あーあ、さんざんな一日だった。
家の前で思いっきり滑るし、結局遅刻はしちゃうし・・・
信号が点滅してる。
車が目の前を通り過ぎて行く。
あれ? あの人昨日の・・・
ヴァンパイア―――
交差点の向こう側にあの人がいる。
雪の舞い降る中、その人は傘も差さずに立っていた。
彼は、じっと私を見つめている。
彼の瞳は・・・
あれは、遥かな記憶
私の・・・
「あぶない!華雪!」
え?
誰かにグイッと引っ張られた。
そして、私の目の前を車が通って行く。
「何やってんだバカ!!」
振り返ったその先には
「お兄ちゃん!」
「死ぬ気かよ。フラフラと車道に出るなんて・・・」
あ、あの人は?
交差点の向こうにその姿はなかった。
「聞いてるのか!!」
お兄ちゃんの怒鳴り声が耳元で響いた。
「うん。聞いてるよ」
家に帰るまで、お兄ちゃんは小言を言いつづけた。
が、私の耳には届いてなかったみたいで、私はあの人のことばかり考えていた。
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