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~時の交叉路~

小さな囁きと共に  誰かに届くように  そっと置いてみる    

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【水鏡】01
文字数:854文字
 夢を見た―――
 悪魔の夢。
 そう、それは悪夢。
 闇に浮かぶ満月。
 滴る血。
 人々の叫び声。
 恐怖が辺りを包み込む。
 殺すことを楽しんでいるこの身体の持ち主。
 多分、村人への復讐なんだろうけど酷すぎる。
 子供まで容赦なく殺してる。
 口の中に血の味が染み込む。
 憎しみの味。
 そして、干からびる死体。
 !!
 ヴァンパイア――――
 この身体、もう人じゃない!
 『永遠の罪』ってこういうことか。
 だから、迷っていたんだ。
 生きたいけど、人ではいられない。
 いつか、これと同じ思いをしたことがある。
 え?
 何言ってるんだろうそんなはずない。
 私、人を殺したことなんてないのに・・・。
 パシャン
 湖に来て血を洗い流している。
 ふと空に目がいく。
 月が綺麗に出ている。
 水が汚れを落としてゆく。
 顔を洗おうと水に顔を近づけたその時・・・
 !!
 水鏡に、この身体の顔が映る。
 それは、あのウォルトと同じ顔だった。
 だけど、私にも似ている・・・。
 私に?
 私の顔を、男の子にしたらこんな感じだろうか。
 ただ、瞳だけは違っていた。
 憎しみに燃えるような、後悔に駆られるような・・・
 私はこんな瞳を知らない。
 ちがう。
 遠い過去に見たことがある。
 これと同じ瞳を。
 いつ?
 いつだったのだろう?
 い・・つ・・・・
 ――――――――――!!
 
 目が覚めた。
 何なのよあの夢。
 え・・・っと
 何の夢だっけ?
 ヴァンパイア?鬼?の夢・・・
 ウォルトが鬼?
 うーん。ちがう
 ヴァンパイア!!
 そうだ、彼がヴァンパイア
 彼がヴァンパイアなら私の願いが叶う
 もし本当にヴァンパイアなら・・・
 ん?
 今、何時なの?
 私は、傍にあった時計に目をやる。
 げ!!
 やばい・・・。
 もう授業始まってるんじゃないの!!
 バタ バタンッ
 慌てて着替えをすませる。
 そして、階段を駆け下りる。
 「華雪、どこいくんだ?」
 お兄ちゃんが呑気にそう言ってる。
 「お兄ちゃんどうして起こしてくれないの!!遅刻しちゃうじゃない」
 「今日、日曜だろ」
 え?
 ピタッ
 かあああぁぁぁ
 顔が赤くなる。
 そうだ、今日は休みだ。
 「何、慌ててんだ?」
 「ハ、ハハッ・・・ちょっと勘違い・・・」
 私はそのまま、Uターンして部屋に戻った。
 

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