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~時の交叉路~

小さな囁きと共に  誰かに届くように  そっと置いてみる    

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【水鏡】02
文字数:765文字
 その夜。
 うつらうつらとしていた時・・・
 コツン コンッ
 ナニ?
 窓に何かがぶつかる音がする。
 ここは二階なのに。
 キィ
 窓を開けてみた。
 その窓の外に彼がいる。
 ウォルトだ。
 そして、公園のほうを指差した。
 あそこに来いって事?
 私は、こっそりと家を抜け出した。
 
 外は、とても寒い。
 雪がちらほらと落ちてくる。
 前にウォルトがいた。
 「あなた、何者なの?」
 「君には、わかってるだろう?あの夢で・・・」
 この人、やっぱり・・・
 「ヴァンパイア?」
 「そうだよ」
 冷たい瞳でそう答える。
 「だったら、私も連れていって」
 ウォルトは、ちょっと驚いた様子だっだ。
 「どうして?」
 「いつもあなたを待っていた。『今』という時間を閉じ込めて、異質なものになりたかった。」
 それが、私の願い。
 まっすぐと、ウォルトを見据える。
 「クスッ」
 急に彼は笑い出した。
 「君は、何も知らないんだな。
 人を糧にして永遠を生きるのはただ、悲しいだけだ」
 そう言ったウォルトの蒼い瞳は哀しみをたたえていた。
 「それでも・・・!」
 「間違えるな。君は俺と同じじゃない」
 彼は静かにそう言った。
 私が彼方と同じ?
 ――――――――
 彼は、私の・・・
 私は、彼の?
 遥かな記憶 あれは・・・
 いつ?
 むせかえる血の香り。
 満たしきれない望み。
 永遠の痛みと後悔。
 いつだった!?
 過去?ちがう。
 もっと、昔・・・
 私の前世まえの姿。
 彼は私の前世。
 
 
 「あなたは、私の・・・」
 ウォルトはそっと、私の唇に人差し指をあてる。
 「君は、君だよ。それ以外のものにはなれない」
 私の願いは彼の願いだった?
 異質な者を望んでいたのは彼の方だ。
 「だから、連れては行けない」
 そして、唇が唇に少し触れた。
 「もう、この町を離れるから、お別れに・・・」
 彼の唇は血の味がした。
 私は、動けなかった。
 彼は過去の私。
 私が、願っていたのは・・・
 彼はそのまま、雪の中に消えていった。
 決して振り向かずに・・・

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